Mageia について (5 - 一部ソフトウェアのインストール時の注意)
一部の特殊な作業が必要なソフトウェアについて、Mageia 8 でのインストール手順のメモ。
公式リポジトリ上のソフトウェア
Steam
前の記事でも若干触れたが、Steam を導入する際は 64bit の Core と Nonfree、そして 32bit の Core と Nonfree の計4つのリポジトリ("Media Source") について "Release" と "Updates" の2つを有効化する必要がある(SteamがLinux向けクライアントをなぜか32bitでしか公開していないため)。加えて Steam のクライアントは一部古いライブラリを要求するため場合によっては依存関係の衝突を起こしインストールできないことがある。回避するためにはインストール直後の他になにもソフトウェアを導入していない段階でインストールすることが一番。
vagrant
vagrant を Mageia で導入する場合、vagrant 以外に ruby-vagrant_cloud というパッケージをインストールする必要がある。これがなぜか vagrant の dependency にも recommendation にも含まれていないので手動で指定してあげる必要がある。
doas dnf install vagrant ruby-vagrant_cloud
一応、forum の magician suggests ... のところに ポスト を, BugZilla に 報告 をあげている。すでに対応してもらっているようなのでわりとすぐに解決するかも。
flatpak & flathub
flatpak の remote を設定
Mageia 8 では最初から flatpak が同梱されているが、flatpak を使い始めるにはまだ一手間必要。 (rf. Mageia Quick Setup - flatpak)
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
→再起動
これで flatpak が Mageia システム上で使えるようになった。
VS Code などのターミナルをもつソフトウェア
flatpak はアプリケーションをサンドボックスの中で走らせるためうまくターミナルとの連携機能が使えない (/usr/sbin 等へパスが通らない)。Atom editor の platformio-ide-terminal 拡張も同様。
Discord
フォントがおかしいことがままある。flatpak版では設定言語を日本語にすることで修正が可能なはず。(cf. バイナリリリース版)
外部リポジトリ
Microsoft Visual Studio Code
Running Visual Studio Code on Linux - Visual Studio
↑の指示通りにマイクロソフトのリポジトリを追加することでインストールできるようになります。
.rpm パッケージ
Atom Editor
Atom エディタは Code-OSS 系(Code - OSS, MS VS Code, VSCodium等)に近い汎用テキストエディタで、MITライセンスで配布されているフリーソフトウェアです。以下のウェブサイトから .rpm パッケージがダウンロードできます。
Gtk 3
Mageia 8 では Gtk3 は gtk+3.0, lib64gtk+3.0 として登録されている。どうやらこれが Atom をインストールする際にはエラーを起こすらしい。ただ他の .rpm パッケージではこういうことは起きていないので普通に rpm -i --nodeps とかで依存関係を無視しても恐らく問題ない。
注) 自分の環境では他に libnotify と lsb-core-noarch が要求されたが、これらは普通にリポジトリからインストールできる。
apm と apmd の衝突
本当の問題はここ。Mageia では Advanced Power Management daemon (一般に apmd
, Mageia では apm
というコマンドとして存在) というパッケージが導入されている場合があるが、これが Atom Editor の拡張などを管理するための apm というコマンドと衝突を起こし、rpm で導入できない。
ところでこの apmd パッケージ、正体がよく分からない。どうやら比較的に古いハードウェアのバッテリー管理のためのドライバらしく、Debian ではサポートされていないらしい (使用するにはカーネルの再コンパイルが必要らしく、apmd のパッケージも debian のリポジトリからは削除されている。Ubuntu でも bionic でしかリポジトリに登録されていないよう。) launchpad の Ubuntu のパッケージの説明によれば newer power management scheme" として ACPI があげられているのでこれが走っていれば使っていないのかも?
- Mageia AppDb
- mageia.packages.org
- Fedora Package Sources / Fedora BuildSystem
- apmd in Ubuntu bionic - launchpad.net
- Debian details of packages / Debian Package Tracking System
また、私の環境では実行中のプロセスから探してもapmd というプロセスは走っていないようだった。 というわけでよくわからないが私の環境では apmd は削除して大丈夫そうだったので、以下のコマンドでrpmパッケージを導入。
# dnf remove apm # dnf install libnotify lsb-core-noarch # rpm -i --nodeps ./atom*.rpm
Google Chrome
第2回の記事で書いたような事情でインストール時の言語が英語の場合 (≈ ロケールが ja_JP 以外の場合), フォントが日本語にうまく対応せず漢字がおかしかったり句読点の位置が不自然になってしまうケース (≈ 表示が zh ) がある。フォントは右上の縦に丸が三個ならんだメニューボタンをクリックして "Settings" > "Appearance" > "Custom fonts" で変更可。
バイナリリリース (.tar.gz など)
Discord
バイナリリリースだと少し導入に手間がかかる。(手順は基本的にFedora, OpenSUSE等どのディストロでも同様のはず)
- https://discord.com/ から .tar.gz で圧縮されたアーカイブをダウンロード。
- .tar.gz のアーカイブを解凍し、ディレクトリ名を discord (小文字) に変更。
tar -xf discord-0.0.17.tar.gz --one-top-level=discord --strip-components=1
discord ディレクトリを /usr/share 下に移動
# mv ~/Downloads/discord /usr/share/
依存パッケージをインストール
libatomic1 lib64alsa2 glibc glibc-devel glibc-utils lib64clang-devel lib64c-client0 lib64clang11.0 lib64codec2_0.9 lib64codec2-devel lib64GConf2-devel lib64gconf-gir2.0 lib64gconfmm2.6_1 libnotify lib64notify4 lib64notify4 lib64nspr4 lib64nspr-devel lib64nss3 lib64nss-devel libstdc++6 lib64xscrnsaver1 lib64xscrnsaver-devel lib64xtst6 lib64xtst-devel lib64ayatana-appindicator3_1 libayatana-indicator-tools lib64ayatana-appindicator-devel
dnf install や urpmi で上記のリストのパッケージをインストールする。これは私が下記のリンクを参考に対応するライブラリを含むパッケージを並べたもの。恐らく不必要なものや足りていないものが複数存在すると思うが、これで一応インストール後のエラーが出なくなった。
参照: r/discordapp Well, it looks like your Discord installation is corrupt. - Reddit
- デスクトップファイルをインストール
# desktop-file-install /usr/share/discord/discord.desktop # update-desktop-database
- 再起動
これで discord については無事導入できたはず。
補足
注意! : Discord はクライアントソフトウェアに厳しい制約・規制を敷いており, 下記のBetterDiscord のようなツールは規約違反の廉で 今使用しているアカウントがBANや制限の対象になる可能性があります。 ( *1 ) 以下のようなツールを導入する際は自己責任で行ってください。
インストール後に Discord のフォントが明らかにおかしいようであれば (上記の注意をよく読んだ上でなら) BetterDiscord がおすすめ。AppImage で配布されているので簡単に設定できるはず。細かい設定は BetterDiscord の ドキュメント や このあたり を参考にすると良いかも。
Links
- https://dpqp.jp/entry/betterdiscord
- https://fuurinblog.com/settings-betterdiscord
- https://shinoyon.com/archives/1237
- https://gist.github.com/Yanorei32/0eabb72bcccd989007a45071b1f45647
JetBrains IntelliJ IDEA [追記]
チェコ・JetBrains 社が公開しているJava用IDE. JetBrains 社が関わる Kotlin, Scala の開発環境でもある。IntelliJ IDEA には有償版の Ultimate と無償版の Community Edition が存在している。今回は Community Edition の導入について。Ultimateでもだいたい同じ手順で導入できるはず。Community Edition の Linux版は.tar.gzに圧縮して配布されている。
正式なインストール手順は .tar.gz ファイルの中に入っている Install-Linux-tar.txt ファイルを参照。
大体インストール時の基本ディレクトリとしたい場所に .tar.gz を展開して idea.sh を実行、展開したディレクトリのなかにある bin サブディレクトリを PATH 環境変数に追加する。必要なら .desktop ファイルを作成してインストールする。
# desktop-file-install ./IDEA.desktop # update-desktop-database
*1:BetterDiscord についてBANされたという話はあまり聞きませんが、実際にDiscordに関するツールを開発していた人・使用していた人が繰り返しBANされてツールの開発が終了したケース (discord-cli - GitHub) があります。