Mageia について (2 - インストール編)

前回はMageiaの基本情報と蛇足をいろいろと書きましたが、今回はMageiaのインストールとインストール後の設定についてです。

インストール手順について

詳細なインストール手順については以下のサイトを参考に。

インストール後の初回起動時に表示される Mageia-Welcome については 下記 を参照。

追記 Mageia の公式ドキュメントの日本語版が存在します。こちらに詳しい日本語での導入方法の解説があります。 Mageia 8 日本語版公式ドキュメント

(以上)

インストールしたらまずはターミナルのフォント幅を確認

ここでは、私がいろいろなLinuxディストロで無事死亡してきた大きな原因の一つ、特殊なロケール設定をする場合の注意事項を書いておく。

まず前提として、日本語入力やフォントの設定をする際、ロケールが邪魔になる場合が多いのでよほど重要な理由が無い限りロケールは ja_JP, インストール時の言語設定も日本語にすることをオススメする。Mageia ではこれだけでインストール時に ibus-anthy / mozc が自動で導入される。

ただし、これはJP, ZH への対応が不十分なディストロでは稀にターミナル (xterm-256color) でフォント幅に異常をきたす原因となることがある。そのためインストール後はターミナルを開いてフォント幅が異常で無いか確認すること。異常が起きている場合には再インストールし、言語設定を英語にすること。これで大抵の悲劇は避けられる。一方で逆に英語設定でインストールした後に日本語フォントを導入すると異常が起こる場合もあるので、必ず最初は日本語設定でのインストールから試すこと。

英語設定でインストールした際の日本語入力設定

上のような手順を取り英語設定でインストールした場合には、日本語の言語サポートやフォントなどが不足している場合があるので、

su -
dnf update
dnf install anthy ibus-anthy

のように入力用のパッケージをインストール、ibus を起動時に自動で立ち上がるように設定する。

KDE ではスクリプトを使って起動させるのが一番分かり易い方法だと思うのでその設定方法を。

#!/bin/sh
ibus-daemon

上記のスクリプトibus-start.sh という名前で好きな場所に配置(今回は ~/scripts というディレクトリを作りそこに配置)。そしてこのスクリプトを実行可能に設定する。

mkdir ~/scripts
nano ~/scripts/ibus-start.sh
chmod +x ~/scripts/ibus-start.sh

こうしてあとはMageiaのアイコンのところからメニューを開き "autostart" と検索。これを開くとKDEの設定の自動起動のページに移動する。ここで先ほど作った ibus-start.sh を "Add login script ..." からログイン時に実行するスクリプトとして登録。これでibusが自動で起動するようになった。

フォント

日本語に対応することを前提として作られていない海外発のディストロだとだいたいフォントがデフォルトでは残念なことになるので、フォントを外部から導入することが多い。

フォント導入手順

  1. フォントを .ttf や .otf などのファイル形式でダウンロード
  2. フォントのファイルを対応するディレクトリに配置 (基本的には ~/.fonts か /usr/share/fonts/ttf )
  3. フォントキャッシュを更新
fc-cache -fv

おすすめのフォント

一応 Mageia のリポジトリには noto-sans-cjk が用意されているが、個人的には IBM Plex 系統のフォントをオススメする。

これ以外にも、 - IPA exフォント: IPA(情報処理推進機構, 情報技術者試験等を実施する団体)が公開している汎用フォント - Ricty: プログラミング用日本語フォント、ビルド要件の fontforge は Mageia のリポジトリにあるので dnf でインストールできる - 白源フォント: プログラミング用日本語フォント

等がオススメ。

Mageia Welcome

Mageia の初回起動時に表示される。右下の "Show this window at startup" の部分のチェックを外すことで次回起動時からは自動的に起動しない。(アプリケーションメニューから "mageia welcome" で検索すればいつでも起動できる)

mageia-welcome welcome page
Mageia Welcome

ウィンドウの左右端中央の辺りにカーソルをあわせるとページを移動するための矢印(ボタン)が表示される。上の "Welcome", "Media Sources", "MCC" などと書かれた白いボタンをクリックすることでも各ページに移動できる。基本的には非常に分かり易いつくりになっているので混乱を招くような部分は少ないはず。

注意点

Media Sources

インストール時にインターネットに接続されていれば自動で設定されているので必要な場合を除き設定不要。 Mageia は 64bit と 32bit のリポジトリを持ち、それぞれがライセンス別に分けられている。

  • core: 無料かつオープンソースで配布されているソフトウェア。
  • nonfree: オープンソースでは ない ソフトウェアだがリポジトリに用意されているもの。
  • tainted: 一部の国や地域では特許権や商標権・著作権の問題などで規制されうるもの。自分の住む国や地域での法令等を確認し充分注意して使用すべきもの。*1
  • backports: テスト段階のものなど、バージョンは高いがMageiaの正式なアップデート対象には含まれていないパッケージ。

一部のソフトウェアはnonfreeのリポジトリを有効にしなければインストールできない (例: Steam (64bit core, nonfree & 32bit core, nonfree))ため、そういったソフトウェアをインストールしたいときは設定が必要(インストール時に必要ならリポジトリを有効化するよう通知してくれるので基本的に心配無用)。

有効化する際は以下のように "~ Release" の "Enabled", "~ Updates" の "Enabled", "Updates" にチェックを入れること。

mageia-welcome media source config
メディアソースの設定

doas の導入

Mageia はインストール直後の状態では管理者権限でコマンドを実行するためにいちいち su - でユーザを切り替える必要がある。これでは面倒なので sudo か doas を導入。私は出来る限り doas を使っている。

doas のリポジトリ - Github

インストールは README.md の指示に従うだけで完了する。

su -
dnf install gcc gcc-c++ make flex bison pam-devel byacc git
exit

git clone https://github.com/slicer69/doas.git
cd doas
make

su -
# git clone した doas のディレクトリに移動 (cd /home/___/doas とか)
make install

これで doas がインストールされた。ただしもともとの /etc/pam.d/sudo が存在しないので /etc/pam.d/doas に以下の内容をペーストして保存。

#%PAM-1.0
@include common-auth
@include common-account
@include common-session-noninteractive

これでpamの環境設定が完了。

私の doas の設定 (/usr/local/etc/doas.conf) は以下の通りになっている。

permit nopass keepenv ユーザー名 as root

詳しい構文やキーワードの意味については man doas.conf を参照。 個人的にはdoasはこのように設定がシンプルで分かり易いので好き。sudo に比べて混乱する要素が少ない。

以上でターミナルで doas コマンド と打つことで管理者権限でコマンドを実行できるようになった。

doas には visudo の代替として vidoas が用意されている。また一部のオプションが sudo とは異なるため man doas でマニュアルをよく確認すること。sudo などに比べて短いので比較的に読み易いはず。

*1:当然MageiaはOSSかつ保証なしで配布されているためどのような用途であっても自己責任で使用すべきだがこのリポジトリにあるソフトウェアを使用する際は特に注意。https://www.mageia.org/en/about/license/